ドル円の暴落のタイミングはいつなのか、油断の末は退場あるのみ。

米国株の暴落に伴い、金融相場の雲行きがかなり怪しくなってきました。

FXの為替チャートしか見ていない人は、この危機感がまったくもって分からないと思います。

なぜかというと、米国株の弱気相場に為替相場がまったくもって無反応だからです。

ドル円はまだリスク回避の円買いもでていないし、来年もFRBは利上げを継続する予定だし、まだまだドル買いでいけるでしょ!

そう思っていると、近いうちに退場することになるかもしれません・・・

 

相場が大きく動く時はファンダメンタルが変わるとき

ドル円は現在非常にゆったりと、相場初心者にはなんとも優しいペースでキレイな上昇トレンドを描いています。

直近のドル円のテクニカル的にはこういう状態です。

ドル円 日足 ※画像はすべてクリックでアップになります。

一般的にチャートの時間足が長くなればなるほど,ラインなどのテクニカル分析の信頼度が増してきます。

こちらのチャート画像は日足チャートでのレジスタンスラインと上昇トレンドラインです。

恐らく多くのトレーダーが見ているであろうラインなので、これをどちらかに抜けてきたときは相場が大きく動くと思います。

しかし大きく動くとはいっても、テクニカルな値動きでブレイクしても、それは一過性のブレイクで終わってしまいます。

要は、ブレイクしても大して値幅がとれないということです。

 

そもそもなぜブレイクアウトが起こるのか、ですが
こういったラインの超えたところに大勢の人が損切の注文を置くからです。

 

しかしテクニカルな値動きのブレイクアウトは、その大勢の損切注文を引っかけてそれでお仕舞いです。

その後のレートの伸びはないのです。

それゆえに、普段からブレイクアウト戦略でトレードしていると、ブレイク後に早めに利食いをしないとスルスルとレートが戻ってきて建値決済になることが多くなります。

 

しかし本物のブレイクアウトはレートが戻ってきません。

ブレイクしたらそのままトレンドが発生してドンドンとチャートはトレンドを描いて遥か彼方まで飛んでいきます。

では本物のブレイクアウトとは何なのか。

 

それはテクニカルな値動きにファンダメンタルの変化が合わさったときです。

 

テクニカルな値動きで、まずはラインをブレイクして損切の注文を引っかけます。

損切注文を引っかけたエネルギーでレートが更に上昇します。

その上昇しきったところで短期ブレイク狙いの連中が利食いをするため、レートは多少戻してきます。

それを待ってましたといわんばかりにファンダメンタルの変化を感じた連中が大きなトレンドをとろうと猛烈な買いをいれるため、チャートはものすごい勢いで上昇していきます。※下落の場合も同様です。

 

テクニカルのみのブレイクアウトだと最後の猛烈な買いが入ってこないため、一過性のブレイクで終わってしまうのです。

 

では、ドル円のファンダメンタルな変化とはなんなのか

 

利上げサイクル終了の織り込み

米国株は現在、米中貿易戦争と米国3年債と5年債の逆イールドで株価が弱気相場に入っています。

本格的な景気後退サインの2年債と10年債の逆イールドはまだ起きていないが、時間の問題だろうとの思惑から株価がそれを織り込みに入っている形で下落し続けています。

 

しかしドル円はというと、ほとんど下がっていない。

むしろ急落後の買戻しがかなり強い印象だ。

通常、米国株が下げるとリスク回避の思惑からドル円も下げるのがいままでの相場だった。

ということは市場はまだリスクオフにはなっていないということが伺える。

 

しかし、ここ最近でドル円が急に下落の反応を見せた出来事がある。

それが11月末のFRBパウエル議長の発言だ。

  • 今までのスタンス:中立金利からはまだほど遠い ⇒ 市場は利上げはまだあるとの思惑
  • 11月の発言:中立金利から若干下回る ⇒ 利上げ終了が近いと市場は感じる

これによりドル円は急落した。

 

その後は最近のパターンですぐ買戻しが入ってレートは戻したのだが、この急落の仕方がここ最近のドル円の急落の仕方とは少し違った印象を受けた。

ここ最近のドル円は下落するにしても非常にゆったりとしたペースで下落していた。

しかし、パウエル発言のときは下落のスピードが早く、ここ最近では見ないリスク回避的な値動きとも言えるチャートだった。

市場が異様に反応したのである。

 

この一件で、市場は何を待っているのかがわかりました。
『ドル円の下落トレンドへの転換は近い、それは市場が利上げサイクル終了を織り込むときだな』と。

いつの間にかソレは織り込まれる

パウエル議長がいきなり「中立金利に達し、利上げはしばらく様子見だ」などと発言すれば、その日がドル円のトレンド転換日になる可能性が高く、ドル円レートが一気に下落していくでしょう。

じゃあパウエル発言がある日だけ警戒していればいいのか、というとそんな簡単な話ではなく、市場は利上げの終了を徐々に徐々に相場に織り込みに入り、いざパウエルが利上げ打ち止めを示唆する発言をしたとしても既に相場には織り込まれている可能性が高いのです。

では、我々個人トレーダーがどうやってソレを察知すればいいのかというと、一番わかりやすいのは、米国株なのです。

冒頭からチラホラとでてきている米国株というワード。

FXトレーダーだから関係ない!
などと思っているとファンダメンタルな変化、相場環境の変化についていけず、やがて資金を溶かしてしまいます。

 

現在、NYダウ、S&P500、ナスダック、の主要米国株価指数は米中貿易戦争、米国3年債、5年債の逆イールドで10年にわたる長期上昇相場の調整局面に入ってきています。

調整で済めばいいのですが、もし大暴落ということになると市場はより一層、利上げの早期終了を感じ取りドル円レートに織り込みにかかります。

しかしFXのチャートしか見ていないと、それすらも感じとることができません。

市場は早期利上げ終了を織り込みに入っているのに、それに気づかず、ドル円はスワップも貰えるし、まだまだ利上げする予定だし、下がったら買い、なんてトレードをしているとかなり危険です。

日足レベルでいいのでNYダウだけでも見ておくことをオススメします。

 

最後に

相場環境の変化はゆっくりと、そして気が付いたときには完全に変化しています。

相場環境が完全に変化すると、いままでうまくいっていた相場へのアプローチでは対応できなくなります。

その変化に対応できない人が相場の大多数を占めており、相場からいなくなっていきます。

でも安心してください。

いつでも、新たに、相場に参戦してくる人(カモ)がいるのです。

そんな人にならないように、我々トレーダーは油断せず、資金管理を徹底してかなければならないのです。

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